第9章 畏友
「ま、マークにディラン……」
土門は花織から離れて顔を顰める。今の話を聞かれていやしないかと訝しんでいるのだ。だがそんな土門の心配をよそにディランは素早く椅子に掛けている花織の足元に傅いて花織の手を取った。
「ヘイ、ユー!ユーはドモンのガールフレンドかい?」
「え?いや、私は」
「ディラン、聞かなくてもわかるだろう。ドモンが部屋に連れ込んで、今まさにキスをしようとしてたんだ。ガールフレンドに決まってる」
花織が違う、と否定する前にマークが憶測を述べてしまう。土門も訂正しようとしたが、それにテンションが上がったのかディランはヒャッホー!!と叫び、花織の手を握った。
「ヒュー!こんなキュートなガールがドモンのガールフレンドだなんて!ドモンも隅に置けないな!」
「いや、だから……」
「あれだね!クロカミビジン!!ヤマトナデシコ!!そうだろ、ドモン?」
「あ、あの……」
アメリカ代表はこんなにテンションが高いのか。花織は困り顔でディランを見つめる。ディランはキラキラした笑顔で花織を見つめていた。違う、その一言を挟むだけなのに間髪入れずに彼が話しているから訂正できない。そんな中、マークが土門の肩を叩いた。
「俺も驚いたよ。何で紹介してくれなかったんだい、ドモン」
「いや、だから……。花織ちゃんは俺のガールフレンドじゃないって。他にちゃんとボーイフレンドがいるよ」
「えっ、そうなのか?」
マークとディランは驚いた顔をして花織を見る。花織はこくこくと首を縦に振って土門の言葉を肯定した。土門は呆れ顔でやれやれと首を横に振り、それで、と二人に言葉を掛ける。
「一体何の用だったんだ?マーク、ディラン」
「……ああ、忘れてたよ!ドモン、ユーに客が来てるんだ」
「青い髪のジャパニーズ、そう、カゼマルとか言ったかな?」
え、と今度は土門と花織が驚く番だった。