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諸恋

第9章 畏友




アメリカとの試合は翌日に控えた。皆、ダイジェストで放送されるアメリカ代表の一之瀬や土門の姿に益々気合が入る様だった。夕刻、花織と冬花は自由時間珍しく行動を共にしていた。出かけ先が一緒だったので一緒に出掛けることにしたのだ。何しろ花織がひとりで外に出ようとすると風丸や鬼道が酷く心配する。今日はただ自分の買い物をしたいだけだから、二人を連れ出すのは気が引けていた。

そこでタイミングよく冬花が同じ場所へ買い物へ行くことを知って行動を共にすることにしたのである。花織はいまだに冬花に対して若干余所余所しい接し方をしてしまうが、おそらく彼女が円堂に対して恋心のようなものを抱いているのだと知って冬花に対して寛容になれていた。

「花織さん、そろそろ戻りませんか」
「そうだね、帰ろうか」

用事を済ませて帰り支度を済ませる。買いたいものは買えたし、と戻る準備をしているところだった。見覚えのある姿を見つけて花織はその名を呼んだ。

「あれ、土門くん!」

長身にグレーの髪の後姿。アメリカ代表のジャージを身に纏った少年が振り返る。彼は花織を見つけて驚いた様に目を丸くした。そしてニッと笑って見せる。

「花織ちゃん、久しぶりだな」
「うん、久しぶり。どう?一之瀬くんも土門くんも元気にしてる?」

花織はにこにこと微笑んで土門に問いかける。土門は一瞬表情を陰らせたが、すぐに作り笑いを浮かべて頷いた。

「あ、……ああ、元気にしてるぜ。一之瀬もな」

花織はその一瞬の土門の動揺を何となく悟った。彼は何かを隠しているのではないか。なぜかそんな風に思った。雷門にいるときの彼はスパイであった時を除けば、カラッとしていて裏表の少ない人だ。花織は首を傾げる、何か違和感がある。

「花織さん、この人は?」

不思議そうに冬花が花織に問うた。花織は冬花を向き直る。冬花はイナズマジャパンからのマネージャーだから、土門や一之瀬のことは知らないのだということを思いだし、彼を紹介した。
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