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諸恋

第9章 畏友




そんなことを言いながら風丸の隣に吹雪は掛ける。そして彼は自分の携帯電話を取り出して何やら弄り始める。携帯の先についているのはイヤホンだ。

「はい。これ耳に着けて」

吹雪はその白いイヤホンの右側を風丸に差し出した。風丸は言われるがまま、イヤホンを耳に装着する。吹雪は携帯の画面を風丸の前に差し出して風丸の方に身体を寄せた。

「じゃ、再生するね」

ぽちりと吹雪が携帯電話の決定ボタンを押す。すると画面にはある人物が映し出された。それを見て風丸は思わず吹き出してしまう。画面に映ったのは髪を下ろし、ピチピチのユニフォームを身に纏った自分自身だった。

『雷門イレブン、お前たちはダークエンペラーズの記念すべき最初の相手に選ばれた。さあ、サッカーやろうぜ、円堂』

動画の中の風丸がどや顔で円堂を挑発している。風丸は卒倒しそうになった。片手で顔を覆ったが、その顔は耳まで真っ赤になってしまっている。己の黒歴史を恥じる表情だった。

「吹雪、これは……」
「全国生放送してたらしいね、これ。紺子ちゃんがドラマの再放送を毎週録画してる枠にたまたま撮れてたみたい」

ここじゃないや。などと言いながら吹雪は携帯を一時停止してまたボタンを弄り始める。彼はこれを見ても何も思わないらしい。風丸は恥ずかしさで死にそうなのに。確かに今の悩みは吹き飛んでいった。

「で、僕にくれたんだ」
「何でそんなものを……」
「だって、僕に必要なものだったから」

いったい何に必要だっていうんだ。と風丸が唇を噛む。俺を辱めるための嫌がらせか、と風丸は思う。だが、そうではなかった。あ、ここかな?と呟いた吹雪は再び動画を再生させる。風丸は指の間から動画を見た。
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