第8章 遠ざかる光
「ちょっと持ち上げるよ」
花織は風丸の足元に座り、彼の右足を自分の膝の上に乗せると患部を持ってきたアイシングで冷却し始めた。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だよ」
風丸は花織に微笑みかける。花織はその表情に無理をしているわけではないことを悟って足を冷やす。風丸は足を冷やし続ける花織にすまない、と小さな声で呟いた。
「俺がもっとしっかりしてたら、試合結果は違っただろうか」
「……ん?」
花織が顔を上げて風丸を見る。風丸は切なげな表情を見せて花織から顔を背けた。静かに目を伏せて言葉を続ける。
「キャプテン代理だったのに前半で怪我をして早々に抜けてしまうなんて情けないよ」
もしかしてずっと気にしていたのだろうか。花織は風丸を見つめて目を細める。そうっと風丸の足を撫でて微笑む。
「……そんなこと、ないよ」