• テキストサイズ

諸恋

第8章 遠ざかる光




「この島に、影山がいるかもしれない」
「……!?」

想像もしなかった言葉に声も出なかった。花織は思わず携帯を持っていない左手で口元を抑える。

影山零二、四十年間帝国学園を日本一に君臨させ続けた帝国学園の元総帥だ。帝国学園の指導者でサッカー協会副会長という表の顔を持つのに対して勝利のためならどんな手段でも使うという裏の顔を持っていた。

円堂守率いる雷門サッカー部が帝国学園の脅威となった際には予選決勝ではグラウンドに鉄骨を落とし、全国大会では人体の能力をパワーアップさせる”神のアクア”というものまで利用し、雷門中を倒そうとした。

全国大会の裏で、これまでの悪事が白日の下に晒され影山は逮捕された。だが、それですべては終わらず彼は脱獄しエイリアとも手を組んだ。

その力で影山は真帝国学園を築き上げて雷門に勝負を挑んだ。不動明王を使い、有力な選手を集め佐久間と源田には使用すれば身体が破壊される禁断の必殺技を使わせてまで試合に勝利しようとした。だがその計画も失敗に終わり、今まで影山総帥は行方を晦ましていたはずだった。

「総帥が……、この島に」
「確かなことはわからない。だがほぼ間違いないと言っていい。どうやらイタリアのチームに関係しているらしい。俺はそれを調べるためにイタリアエリアにいる」

花織はぞくりと背筋に冷たいものが走る感覚を覚える。花織がここまで影山に恐怖するのは理由がある。それは花織が鬼道にとってのアキレス腱だと影山に知られていて、その手に落ちかけたことがあるからだ。

一度目は学校からの帰宅時に後を付けられ、誘拐されそうになり、二度目には鬼道の想い人として力に目の眩んだ佐久間たちに罵倒された。すべて影山が仕組んだことだった。花織が総帥に対して恐怖を抱くのも無理はなかった。

「本当はあまり不確かなことでお前を不安がらせたくなかった。だが用心に越したことは無い。お前は今でも影山にしてみれば俺への脅しに使える人間だ」

もしかして、花織はそこでふと思いだした。不動が今日、昼間にひとりでイタリアエリアにいた自分を宿舎まで送ってくれたことを。もしかして彼も影山のことを知っていて……?
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp