第8章 遠ざかる光
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その日の午後の練習は何故か鬼道、佐久間、不動の三人が集中できておらず、練習から外されてしまった。しかもその上その三人は練習中にどこかに行ってしまって帰ってこない。円堂もそれを探しに行ったきりだ。
夜、響木監督宛に円堂から今日は合宿所には戻らない。鬼道たちも一緒だから大丈夫だ、という風に連絡があったと聞いているが花織は彼らに何かがあったのではないかと心配だった。特に今日、不動が柄にもなく花織を合宿所に送ったのも何か理由があってではないかと考えていた。
「鬼道さん……」
中でも鬼道のことはやはり心配になる。自分の尊敬している人物であるし、初恋の人だ。このままでは自分もすっきりしないし、声を聴いた方が安心できるかもしれない。そう思って彼に電話を掛けようとしたその時だった。
花織の携帯が着信を告げる。携帯に表示された名前は、今まさに連絡をしようとしていた鬼道有人だった。花織はすかさず電話に出る。
「もしもし」
「花織、今時間は大丈夫か?少し話がしたい」
電話で聞く鬼道の声は少しだけいつもより低い。花織は自室のベッドに掛けて鬼道の声を聴く。
「はい、大丈夫です。鬼道さん大丈夫ですか?何かあったんでしょうか」
心配そうな声で花織が鬼道に尋ねる。何しろ鬼道の声はいつもに比べて低く、そして陰鬱としている。鬼道はああ、と花織の問いかけに返答した。
「俺は何ともない。……花織、あまり長く話せないから単刀直入に言うぞ。今からの話は誰にもいうな、もちろん風丸にもだ」
「……はい」
花織は息をのむ。ここまで鬼道が念押しするということはよほどのことなのだろう。花織は黙って鬼道の言葉を待った。鬼道は一度息をついて花織にその事実を告げた。