第8章 遠ざかる光
”あ、あの……、一郎太くん”
何か言いたげだった花織の言葉を遮った円堂の言葉を、風丸は先に聞いた。そのあと要件を聞こうとしたが、花織は何でもない、と誤魔化していなかったか。
あれはもしかして、今日俺を……。
あくまで推測だ、都合の良い解釈かもしれない。それでも今、風丸は自分の彼女に会いたいと思った。会って真相を確認したいと思った。
「鬼道、花織がどこに行ったか知らないか?」
「さあな。……ふらりとあてもなく歩いていったからな。まあ、セントラルパーク内にはまだいるんじゃないか?」
「……わかった」
風丸は凛とした表情で鬼道の言葉に頷いた。探そう、まだそう遠くまでは行っていないはずだ。風丸はまだファンにもみくちゃにされている円堂に適当な理由を述べて走り出す。残された鬼道は深くため息をついてマントを翻した。
「鬼道、いいのか」
「構わない。花織の恋人はアイツだろう」
自分では彼女を慰めることはできない。鬼道はそんな自分の無力さに酷くやるせなくなる。