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諸恋

第8章 遠ざかる光





「開会式の時から気になっていた、アンタの事。いつもこの時間に走っているのか」
「はい。できるだけ、ですけど……」
「俺もなんだ。また会えたら一緒に走らないか、セントラルパーク内だけで良い」

花織はどうしたものかと戸惑ってしまう。相手は見ず知らずの人間だが花織を見つめる目はあまりにも真剣で断るのは悪いと思ってしまう。悪い人ではないようだし、国際間の親睦を図るのもFFIの目的の一つであるからこの誘いは受けるべきなのだろうか。

「頼む、アンタの隣を走ってみたいんだ」

どき、と花織の胸が騒ぐ。今、自分を見つめているウィンディの瞳があまりにも彼に似ていて動揺してしまう。花織はあの瞳に弱かった。握られていないほうの手で前髪を掻き上げ、恐る恐る首を縦に振る。

「わ、私でよければ……」
「ありがとう、カオリ」

にこっとウィンディが花織に微笑みかけた。どことなく風丸と似ているその笑顔が花織の中の警戒心を払ってしまう。ウィンディはそっと花織の手を離すとひらりと手を振って花織に背を向けた。

「じゃあまたな、カオリ!」

軽快に彼は足を進めて走っていく。花織は目を見張った。ランニングであの速さ、もしかして彼の速さは風丸に匹敵するのかもしれない。残された花織はウィンディの後姿を見つめる。やはりどことなくその後ろ姿は風丸に似ていた。

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