第8章 遠ざかる光
「何か、御用ですか?」
「……っ、すまない」
我に返った少年がさっと手を離す。少女、月島花織は目の前に映るスカイブルーの髪の少年を見てなぜ自分を引き留めたのか、というよりも自分が想い慕う彼と目の前に立っている人物がどことなく似ていることに驚いていた。
もちろん肌の色や髪色、顔立ちは違うが全体的な雰囲気が彼にそっくりだ。
「アンタの走る姿があんまり綺麗だったから……。思わず引き留めてしまった」
「えっと……」
照れたようなどう反応してよいのかわからない、といった表情を花織は浮かべる。ただあまりに自分を見つめる目が真っすぐであったから彼が言っていることは嘘や偽りではないことは分かった。走ることに関して褒められることも満更ではなくて花織は困ったように笑ってとにかく礼を述べる。
「それは、その……ありがとうございます」
「俺はコトアール代表のウィンディだ。アンタの名前は?」
ぎゅっと改めて花織の手を握ってウィンディが花織の名前を問う。
「あ、えと……私はカオリです。ジャパン代表のマネージャーをしています」
「カオリか」
ウィンディはじっと花織を見つめる。もう二度と見えないと思っていた美しい人。あの日から走っているとき以外は気になっていて、会いたいと思っていた。その人がこうして目の前にいる、これは運命ではないだろうかそんな風にウィンディは思った。いや、そうに違いない。