第7章 国を背負う選手
綺麗、という言葉がそこほこから漏れている。だが、表情すら大人びて見える彼女は他の誰も目にくれず、風丸の元へと歩み寄る。彼女の正面に立って初めて風丸は彼女がいつもよりも身長が高いことに気が付いた。おそらく少し高めのヒールを履いているのだろう。
「一郎太くん、どうかな……?」
少しだけ面映ゆそうに微笑んで花織が風丸に問いかける。そういう表情をすると年相応の少女の一面が見えてまた違う魅力が引き出される。
「花織……」
息をのむ美しさ、というのはこれかと思いながら風丸は言葉に詰まる。褒めたいがなんとほめてよいか分からなかった。ふと彼女のきらりと光った首元に目が行く。それだけは見覚えのあるものだった。
彼女の大きく開いた胸元、谷間に落ちようとしているその首飾りは間違いなく風丸が彼女にプレゼントしたものだった。
それを見ると少し落ち着いて、この場においても自分のプレゼントを身に着けてくれている彼女を愛しいと感じて素直に微笑むことができた。
「綺麗だよ、花織」
「……ありがとう」
ふわっと心の底から安堵したように花織が微笑む。それはいつもの彼女の微笑みだ。風丸は自然と彼女に手を差し出した。こういう時、どんな言葉を遣えばよいのか分からなかったのだが、自然と言葉が口をついて出た。
「花織、俺にエスコートさせてくれるか?」
花織はそっと差し出された彼の手に自らの手を添える。いつも通りの変わらない、彼女が嬉しい時に見せる表情を花織は風丸に向けた。
「はい、喜んで」