第7章 国を背負う選手
戯言をいう花織に吹雪が厳しい口調で言い切った。花織は吹雪を見つめる。吹雪はじっと花織を見据えていた。
「花織さんが日本に残ったら、風丸くんはどうするの?」
「えっ……?」
花織は思いにもよらなかった言葉に目をぱちくりとさせた。吹雪は真面目な顔をして花織から視線をそらさずにいる。
「花織さんがいないと風丸くん、きっと満足にプレーできないよ」
「ついでにヒロトもね」
吹雪の言葉に同調するように緑川が付け加えた。実際そうであるとは言い切れないのだが、花織が日本に残るといえば落胆する選手が何人いるだろうか。花織のイナズマジャパンへの同行はチームのモチベーションに関わってくる問題だ。吹雪はそう考えている。
「で、でも……。」
「僕らは大丈夫。早く怪我を治してチームに合流する、それだけだよ。でもその前にイナズマジャパンが負けてしまったら意味がない」
FFIには一試合ごとに選手を入れ替えても良いというルールがある。二人も怪我さえ治せばチームに合流することは可能なのだ。
「花織さん」
吹雪がさり気無く花織の手を取る。そして険しい顔を一転させ、いつものふわりとした人の好い笑みを浮かべた。
「僕らのためにも世界へ行って。待っててよ、僕らが戻ってくるのを」
「士郎くん……」
「でさ、たまにメール送ってよ。それで十分だからさ」
吹雪にこうして背を押されれば、決意が固まる。彼と共に世界へ。急に現実味を帯びて気が引き締まった。しかし僅かに心の中に燻るのは先日の出来事、今は小さな悩みだが、これはのちに大きく響くこととなる。