第7章 国を背負う選手
半田がマックスの言葉で明らかにテンションが下がった花織の顔色を見ながらフォローを入れようとした。だがマックスはその努力を無にするような言葉を続ける。
「わかんないよ、風丸だって花織よりも好みの子が告白してきたらまんざらじゃないと思うけど」
僕、風丸の好みがどんなのか知らないけどさー。とジュースのストローの袋に息を吹き入れたり、戻したりと遊びながらマックスが言う。
「でも女の子が花織だけじゃないって気づいたら、風丸他の子に乗り換えちゃうかもね」
「マックス!いくらなんでも花織の前で」
「冗談だよ、すぐ君は本気にするんだから」
マックスの冗談に声を荒げた半田にどうどう、とマックスが声を掛ける。花織はまた複雑な気持ちがこみあげるのを堪えて立ち上がる。自分よりもいい子がいたら、彼はそっちにいってしまうだろうか。人の心は分からない。
自分だってあれだけ鬼道を想っていたのに、今はこんなにも風丸が好きなのだから。
「私、そろそろ合宿所に戻ろうかな。今日は二人に会えてよかった」
平静を装って花織が立ち上がる。それじゃあね、と別れもそこそこに花織は足早に二人の元を立ち去った。胸の中では込み上げる不安と、もっとしっかりしなければという思いがぐちゃぐちゃに渦巻いていた。
さて、残された二人はというと半田が花織が去ってしまったのはお前のせいだと言わんばかりにマックスを睨みつける。