第7章 国を背負う選手
「久しぶりに会っても君の心配は風丸ばっかりなんだね」
そう言ってパックに入ったオレンジジュースを吸い上げるのは、縞々のニット帽がトレードマークの松野空介ことマックス。そしてその横で割と真剣に話を聞いている特に特徴のない男子生徒は半田真一だ。二人は花織の学友あり雷門サッカー部の一員で、学校ではそれなりに仲良くしている人間だ。
今回、ライオコット島に行く前に少し会おうかということになり、放課後に顔を合わせることにした。校内の適当な場所で待ち合わせて、久しぶりに顔を合わせる。アジア予選突破のお祝いの言葉もそこそこに世間話をして、そして風丸との関係をマックスに尋ねられ花織は昨日のデートの時の出来事を彼らに話した。
「まあ、風丸も日本代表っていう立場だしねえ、そりゃファンもできるよ……。顔もカッコいいしさあ」
「……」
肩を竦めてマックスが呟く。花織はこの話題になってから黙り込んで二人の話を聞いている。マックスは表情を変えずに花織の不安を煽るような言葉を続ける。
「学校内でも聞くよ。そりゃ、うちのクラスの奴らは君たちの関係を知ってるから、言わないけどさ。でも特に下級生に人気高いみたいだよ風丸。ファンクラブもできたみたいだし?」
ファンクラブ。その言葉に花織は硬直する。この学校ですらそんなに風丸を慕う人間がいる。これが町内、都内と広がればどれだけの女子が風丸を想っていることだろうか。怖い、と花織は思った。自分が風丸に相応しいのかを疑っ てしまったから余計に。
「でも、風丸は花織が好きなわけだろ。ファンクラブとか風丸が好きな女の子が増えたってふたりには関係ないと思うけど」