第7章 国を背負う選手
花織の目にパッと映ったのは日本代表イナズマジャパンのユニフォームのレプリカだ。アジア予選でイナズマジャパンが優勝してから彼らへの期待も高まっている。これはイナズマジャパンのサポーターが応援のために着るためのものだろう。
見た目はそっくり日本代表のユニフォームそのまま、ただ一つ違うのは背番号の上には その番号を背負うものの名前が英語で綴られている。案内板を見れば自分の望む番号のものをオーダーすることもできるらしい。
「いいなあ……」
憧れでもある日本代表のユニフォーム、マネージャーは紛らわしいものを着用してはいけないという制約があるが、着てみたい気持ちはある。
花織は迷いなく背番号2のユニフォームを手に取る。背中に入った「KAZEMARU」の文字を見て自分の事ではないのに嬉しさがこみあげた。サイズを確認して彼女はそれを自分の買い物かごの中に入れた。
自主練するときに着たらいいかな。
これを着ている自分を見たら彼はどう思うだろう。少しびっくりするかな。そんなことを思いながら会計を済ませて外に出る。約束した時間まではもう五分もない。きっと彼は外にいるだろうと、きょろきょろとあたりを見回す。
青髪の彼の姿を店から少し離れた場所で見つけて花織はそちらへ向かおうとした。彼の声を呼ぼうとする。が、その声は彼女の耳に入った言葉によって押しとどめられた。
「あ、アレ!イナズマジャパンの風丸選手じゃない?」
「えー、嘘っ!ほんとだあ、カッコいい~」
「ひとりなのかな?ねえねえ、声かけてみようよ」
花織はそちらを見て固まってしまう。恐らく、同じ女子中学生のグループ。制服はどこのものかは覚えていないが見覚えがあった。彼女たちは視線の先に風丸を捕らえてきゃあきゃあと騒いでいる。風丸はそのことに気づいていないようだが。だが花織はこの光景を見ていて冷水を浴びせられたような気持ちになった。
”風丸選手”
彼は国を背負って戦う日本代表。メディアにも取り上げられて、ユニフォームのレプリカまで作られて。それだけでも彼が話題性がある人物なのは明確なのに。