第6章 男女の違い
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見られた、どうしよう。
花織は酷く昨晩のことが気にかかっていた。気恥ずかしくていつもは無視はされるものの行う挨拶すらできなかった。配膳の時だって不動に対してだけはどうしてもぎこちなくなった、そのくせ不動のことが気にかかってちらちらと彼のことを見てしまう。
不動は誰に言いふらしたりもしないだろうし、気にしなければよいだけなのだろうがどうしても気にかかって仕方がなかった。振り切ろう、忘れようとするたびにあの光景がフラッシュバックする。思い出すたびに完全に見られたと再確認することになる。
「花織!」
ぎゅっと後ろから肩を抱かれる。びくっと花織は飛び上がった。振り返るとリカがニコニコと笑いながら花織を見つめている。花織はほっと胸をなでおろした。不動ではなかった。いや、不動であるはずがないのだけれども。
「どや、作戦のチョーシは。風丸はなんか言うてくれたか?」
「あ……、えと」
正直言って今はそれどころではなかった。リップこそ塗ってはいるが、今日は髪を結ぶのを忘れていた。風丸と朝、どんな会話をしたかすら覚えていない。それほど昨晩の出来事が脳裏に焼き付いて離れない。リカは眉間に皺を寄せて花織にぐいと顔を寄せる。
「まさか、これだけやって何もないんか!?はーっ、風丸も乙女ゴコロが分からんやっちゃなあ」
「……」
花織は話に集中できずに、きょろきょろとあたりを不安げに見回す。同じ食堂内にいた不動と目が合って花織は慌てて目を逸らした。顔が熱くなっていくのが分かる。ああもう、何なの。お願いだから忘れてほしい。昨日の出来事がなかったことにならないだろうか。
「花織……?」
そんなふうに珍しく上の空の花織を見てリカは眉を顰める。もしかして花織は作戦が上手くいっていないことに相当悩んでいるのではないだろうか。花織の反応を見るに、風丸は一切何にも反応を示さなかったのだろう。ここまで乙女のアプローチを無視できるのは逆に凄い。
だが感心している場合ではない。いつもはしゃっきりとしている花織がこんなに悩んでいるのだ。ここは自分がもう一肌脱ぐべきではないだろうか。