第6章 男女の違い
子供みたいでしょう、と花織が肩を竦める。アフロディはそんな彼女を見ていて今度はそこまで深刻な悩みではないのだな、と察した。前回の時の彼女はアフロディに対してかなりぎこちない作り笑いをしていた。でも今は心のままに表情が出ている。
「風丸くん、だったね。彼はとても果報者だな、君みたいな人にこんなにも想ってもらえて」
「そんな……」
花織が首を振って否定する。アフロディは意味深に微笑み、さてとと呟いた。
「楽しい時間はもう終わりのようだよ。とても残念だけれどね」
気が付けば、もう雷門中の正門に到着していた。花織はアフロディに改めて礼を言い、買い物した荷物を受け取る。アフロディはじっと花織を見据えてやはり口元には微笑みを湛える。
「照美くん、本当に今日はありがとう」
「気にしないで。僕は君と過ごせて楽しかったから」
ひらひらと顔の前で手を振って彼は綺麗に笑む。花織は彼を見上げて首を傾げた。
「次はいつ会えるかな」
彼は神出鬼没だ。どこに住んでいるのかも知らないし、今どうしているのかも結局この帰り道で聞かなかった。思えば花織の話ばかりをしていたような気がする。彼は何も自分を語りたがらないのだ。アフロディはふふ、と微笑んで花織の頭の上に手を優しく置いた。
「近いうちに会えるよ、君はイナズマジャパンのマネージャーなのだから」
彼の言っている意味が分からず花織は再び首を傾げる。アフロディは柔らかく花織の髪を撫で、右手でくいと彼女の顎を持ち上げた。
「おやすみ。彼によろしく、月島さん」
背の高い彼が少しだけ背を屈め、花織の額にキスをした。花織が驚いて目を真ん丸にすると、アフロディはそれではね、と優美に手を振って去っていった。