第6章 男女の違い
ふふ、と口元に手を添え、美しくアフロディが微笑む。時間が煩い者、という表現に花織は多少引っ掛かりを感じたのだが、家族か兄弟だろうと自分の中で納得してごめんなさい、と彼に謝罪した。
「気にしないで。それより月島さん」
さあっと夜風が吹き抜ける。彼の金糸のような髪が舞い上げられ、それはそれは神々しく見えた。実際は彼は神ではないのだが、それでもかつて神を名乗っていただけの神々しさを持っていると花織は思う。
「君はとても綺麗になったね。とても魅力的でプシュケーのように美しい」
「ふふ、美の女神アフロディテを捩った呼び名を持つ照美くんにそんなことを言われると変な感じがするね」
花織は少しだけ面を伏せて静かに呟く。
「女神に例えるなら私はヘラかな。……嫉妬の化身のような人間だから」
「ふふ、また君は思い悩んでいるんだね。それも彼のために」
アフロディがふんわりと笑う。中性的なその微笑はまるで美しい女性が微笑んでいるかのように錯覚してしまう。花織は彼の言葉に苦笑してうん、と頷いた。
「私はいつも彼を想ってるの。馬鹿みたいに嫉妬深くて、彼の心を独り占めしていたいの」