第6章 男女の違い
桃髪の少年はニヤニヤと笑いながら立ち尽くす花織の肩を抱いた。花織の持っているビニール袋が、がさりと音を立てる。
「いいねえ、震えちゃって可愛いジャン。サテンでも入ってさあ、ゆっくり話そうぜえ?」
「や、やめてください!」
何とか花織が震える手で少年を突飛ばす。後ずさって多少距離はとった。だが足は震えている。うまく走れる自信はない。
「ってぇ、何すんだこのアマ!せっかく優しくしてやろうってのによお」
「……っ」
がさがさ、とビニールが揺れる。この荷物だ。抱えては走れない。逃げきれない。その時ふわりと音も立てずに花織の肩がそうっと抱かれた。花織はびくりとして身を縮める。
「待たせて悪かったね。探したよ」
聞きなれない、でもどこかで聞いたような声。花織は恐々と自分の肩を抱く人物を見上げた。そしてはっと目を見開く。美しい長い金髪がさらりと夜風に揺れる。花織を見つめた赤い瞳は花織に優しく微笑みかける。
「あ、貴方は……」
「安心して。ここは僕に任せて」
美しい彼は左腕で花織の肩をその顔に見合わない力で強く抱き寄せて囁く。こんなところで出会うなんて微塵も考えていなかった。あまりの驚愕に花織は驚きを隠せず目を見開く。
「何だてめえ、やんのか!?」
「この子の連れだよ。……全く、美しくないね。怖がる女性を無理やり連れまわそうとするなんて」
「何だと?お前ら、やっちまえ!!」
不良の男の一声で彼らの連れが花織らに向かって駆けだす。美しい少年は右手を天に向けてしなやかに上げた。
「ヘブンズ・タイム」