第6章 男女の違い
備流田さんの経営しているスポーツショップで買い物を終えたときにはすでにとっぷり日が暮れていた。吹雪にあんなことを言われて逃げ出すように飛び出してきてしまったけれど、買い物の量が意外と多く付き合ってもらった方が良かったかと後になってから後悔した。どちらにせよ、あんなことを囁かれた後で平静を保ち吹雪と一緒に買い物などきっとできなかっただろうけれども。
あの言葉をしばらくは気にはしていたものの、自分が好きなのは風丸一人なのだからと思ってしまえば吹雪は髪型やリップを褒めてくれたのに、という風丸に対して少しじれったい感情を抱いた。気づかないのか、気づいてくれているのなら少しくらい触れてくれてもよいのに、と思う。あのハプニングの前にだってふたりで話す時間はあったのだから。
やっぱり、私に飽きちゃったのかな。
花織は結構、あの時の不動の言葉を気にしている。倦怠期、という言葉も。花織の中は不安だらけだ、なぜか日々風丸との目に見えない距離が離れていってしまっているような気がする。俯きながら花織が考え事をしているとチリンチリンという自転車の音と、数人の人影が花織の前に立ちはだかった。
「ねえ、そこのカノジョォ」
間延びした聞きなれない声に花織は足を止めて身構える。目の前には紫色の短ランの下に黒いパーカー、そのフードを被った桃色の髪の男が立っていた。それに付き従うように数名の男たちが立っている。見るからに不良ですと言わんばかりのいで立ち。
「へえ~、かなりの上玉じゃん。カーノジョ、今から俺らと遊ばねえ?」
ガラの悪そうな様子。吹雪も言っていた、最近ここらに何故か不良が多いと。彼らもそれに類する人物らしい。逃げようと花織が足を何とか動かそうとするが、既視感のある光景に足が竦む。