第5章 魅惑の女性
勢いよく手を引かれて花織とリカがやってきたのは大型ショッピングモールのランジェリーショップだ。確かに下着は新調しなければならなかったからと、それなりの予算は握りしめてきた。このランジェリーショップは可愛いデザインが多いわりに学生のお財布に優しい店なのだとリカが先刻言っていた。この近辺の女性向けの店については彼女は既に調査済みらしい。そんくらい知っとくのがジョーシキや!と彼女は言っていた。
色とりどりのランジェリーが並ぶ。可愛い、清楚、セクシーなど様々なジャンルに別れていて中には上品なドレスのように綺麗なものまである。
「これなんてええやん。エロ可愛いってやつやな。……ん、値段もええ感じやで」
そう言ってリカが手に取ったのは赤いランジェリーだ。柔らかなシフォン生地のブラとショーツにはふんだんに黒いレースがあしらわれ、生地にもラメが散りばめられている。可愛いというよりは大人っぽくてセクシーなデザインだ。
「わ、私、そんなの付けたことないよ」
花織がおろおろしながら両手でリカの左肩を掴む。彼女が普段身に着けているのは装飾すら少ない淡い色の下着だ。不安げな花織をよそにリカは何言うてるん、と花織を向き直る。
「つけたことないからつけるんやで。心配せんでも花織は何でも似合うんやから」
ずい、とリカが花織に顔を寄せる。そして花織の耳元でそっと囁いた。とんとんと指先で花織の胸を叩きながらリカが言う。
「花織、アンタが強調するんは”ここ”やで。ならここを飾るんも派手で可愛いのを選ばなあかんやろ。万が一、風丸に見られるようなことになった時にダッサイ下着なんか着けてたら幻滅されてまうで。今までのイメージを吹っとばしてセクシーに、かつ風丸に見られてもええ様なやつを選ばなあかんよ」
そういう、ものか。花織は妙に納得してしまった。彼女の中では自分の恥じらいなどより、風丸がどう思うか、風丸のために綺麗になりたいの気持ちの方が天秤にかけて上であった。乗り掛かった舟、ここは自分の好みも入れつつ、リカに任せてみようと花織は意気込み真剣に下着を選び始めた。