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諸恋

第5章 魅惑の女性



***

「ビックリしたで、急にあんなメールがくるんやから。花織になんかあったんかと思うて塔子んち飛び出すとこやったわ」

翌日の昼、花織は自室に友人であるリカを招いていた。彼女こそ、花織が昨夜にメールで連絡を取った相手である。「相談したいことがあるから、時間があったら明日合宿所に来てほしい」とただそれだけ送ったはずなのに酷く心配して朝から駆けつけてくれていた。キャラバンに乗っていた時、花織はほとんど彼女を頼らなかったからだ。

「でも確かに由々しき事態やな。あの風丸がアンタとおることを避けるやなんて」

リカには既にこれこれこうと事情を説明している。そして匿名ではあるが、ある人物に風丸に飽きられているのではないかと指摘されたということも。それを聞いてリカはただ事ではないな、と直感した。何しろあの風丸が花織を避ける。あまり付き合いは長くないが、リカの知る風丸一郎太は片時も花織を手放したくなく、また他の異性が近づけば言葉なしに威嚇するような男だ。ベッドに掛けている花織は枕をぎゅうと抱きしめる。

「今朝はいつも通りだったけど、でも……。なんていうか、ふたりきりになるのは避けられているような気がして。思い返せばスキンシップも減ってきてた気がするし」

花織がマッサージを風丸にしたあの日から、風丸は花織におやすみのキスをしなくなった。一回目は偶々かと思っていた。別に一度くらいしなくたって気にも留めなかった。だがその日を境に彼が花織にあまり触れようとしなくなっていたことに花織は今更ながらに気が付いた。ここ数日、手すらつないでいない。部屋を訪れても妙に彼は距離をとる。

「ウチから見てみれば今日はいつも通りのアンタらやったけどな……。そういえばアンタらって付き合い始めて何か月くらいやっけ?」

リカに問われて初めて、花織が彼と交際してきた年月を指折り数える。一度別れたことを考慮しても大体半年、といったところであろうか。

「もしかして、アレやないか?」
「アレ?」

何も思い当たらない花織が首を傾げる。リカはじっと花織の顔を覗き込んで声を顰めた。
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