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諸恋

第5章 魅惑の女性





「手伝おうか、花織」

すっと横から花織のものではない手が洗濯籠へと伸びる。突然現れた手に花織が驚いて顔を上げれば、そこに立っていたのは鬼道だった。鬼道さん、と花織が驚きの声を上げれば彼はフッと口元に笑みを浮かべた。

「窓の外からお前の姿が見えてな。春奈たちは買い出しでいないんだろう」
「はい……。でも大丈夫です、鬼道さんは折角のお休みなんですからゆっくり休んでください」

鬼道の手から洗濯物を受け取ろうと花織が手を伸ばす。だが、鬼道は譲らなかった。花織をゴーグル越しに見つめてそっと伸ばされた彼女の手を握る。

「ならば俺の話に付き合ってくれ。一人で退屈していたところでな。その代わりと言っては何だが、マネージャーの仕事を手伝おう」
「鬼道さん……」

鬼道は花織よりも何枚も上手だ。花織が困ったように笑う。でも正直救われたような気がした。今一人で作業を続けていたらきっと気持ちが沈むばかりだった。

「ありがとうございます、鬼道さん」

やはり鬼道有人は月島花織という人間をよく理解している。

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