第5章 魅惑の女性
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今日は珍しく休養日であった。風丸は今日、緑川と一緒に買い物に行くと言っていた。いつの間にやら合宿の間に二人は仲良くなっていたらしい。休みといってもマネージャーは買い出しだったり洗濯だったりと色々用事が あるわけであるから、全く休みではない。花織は秋と春奈に買い出しを任せて一人で溜まった洗濯物を干していた。選手の人数分洗濯物はあるわけで、それはそれは結構な量だ。花織ひとりでやるには多すぎるくらいだが、冬花の姿が見えないから手伝いを頼むこともできないでいた。
だが、冬花がそこにいたとしても花織は手伝いを頼まなかったかもしれない。
花織は冬花という存在を測りかねていた。というのも、彼女が円堂の幼馴染のフユッペである可能性を考えていたからだ。
円堂と幼馴染、それはすなわち風丸とも幼馴染ということになる。一度さりげなく風丸に冬花のことを知っているか尋ねたことがある。その時風丸はフユッペと円堂が呼んでいた女の子と遊んだ記憶 はある、と言っていた。でもその少女と冬花は苗字が違うらしく、風丸は別人なんじゃないかと言っていた。
花織は選手のユニフォームの皺をパンっと伸ばす。だが苗字が変わることなんてこのご時世よくあることだ。彼女がそのフユッペかもしれないことには変わりない。
彼女は自分の知らない彼を知っているかもしれない。たったそれだけ、そんな小さなことで”フユッペ”という未知の人物に嫉妬している。子供じみていて、醜い嫉妬だとわかっている。それでも冬花がもしかして自分の知らない風丸を知っているのかもしれないと考えると妬ましいのだ。花織は風丸の、ここ半年ほどの事しか知らないのだから。