第5章 魅惑の女性
それを扱きながら、彼女とぐちゃぐちゃに絡み合うところまで想像する。完全に彼女を組み敷いて自分の中に捕らえてしまったら、彼女は俺以外を見ないだろうか。
「花織……はあ、花織っ」
慕ってやまない彼女の名を呼び、はあはあと荒く息を吐きながらも彼の手は止まらない。好きだ、好きなんだ。お前の全部が欲しい。俺の手でめちゃくちゃにして、俺以外の手の届かない場所に閉じ込めてしまいたい。
”私は一郎太くんのものだよ”
脳内の中の花織が風丸だけに微笑みかけた。
「……っく」
どくんどくん、と手の中で何かがはじけた。手の中で熱いそれが迸る感覚。はあ 、はあ、と荒くだが落ち着いて呼吸を繰り返す。まだぼんやりとした頭で自らの手を見れば白くどろりとしたそれがべっとりと付着している。ああ……。風丸はようやく我を取り戻してティッシュで手を拭い、身の回りを整えた。はあ、と深くため息をつく。手を洗うため、彼は自室の鍵を開けて外へ出た。
流水と石鹸で手を洗いながら風丸ははっきりとし始めた頭で罪悪感を感じる。巷では賢者タイム、というのだろうか。この行為をしてしまった後、花織を空想の中で穢してしまう自分が、堪らなく嫌になる。でも花織がそれだけ魅力的で、彼にとって何より情欲をそそるものだから抑えることもできない。
花織の前では散々弱い部分を見せてしまったが、この色欲に塗れた自分は未だ隠し続けている。見せてしまったら間違いなく嫌われてしまうのではないかと考えているから、できるだけ聖人君子のように振舞っている。それ以前に風丸たちは中学生で情交するのは早いとヒロトの言葉通り風丸も思う。
花織のことは大切にしたい。その場の雰囲気に流されて彼女を穢してしまうのは風丸自身が何より許せない。
それでも、彼女は本当に清らかでありながら濃艶で。
彼はいったいどうやって今の関係を続ければよいのかを考える。きっと普通に接すればいいのだろうが、どうしても時々いやらしい考えが過ることを妨げることはできないでいた。