第12章 気持ち
「おーい!ユウー!こっちで一緒に飯食おうぜ」
ラビが神田に声を掛ける。
その名前に思わずビクッと反応してしまう。
ラビに呼ばれ神田は私の横にドカッと座る。
「「えっ?」」
思わず私たちの声は一致する。
「ユ、ユウ?」
「なんだよ」
「あー…いや、ここで食べるんさ?」
「悪いか」
ラビは自分で声を掛けておきながら思わず聞き返してしまう。
(まさか、本当に来るとは思わなかったさ)
いつもなら無視するか睨む所を何故か今日は一緒になってご飯を食べる姿に驚く。
「神田…何か変な物でも食べたんですか?」
「…チッ」
「蕎麦ばっかり食べてるからおかしくなっちゃったんですね…」
「喧嘩売ってんのかテメェッ!」
様子のおかしいせいは蕎麦ばっかり食べてせいだと憐みの目で見る神田を見るアレン。
勿論それに対して神田が大人しくしてるはずもなく言い合いが始まってしまう。
「いつも通りさ…」
「うん。そうだね」
「でも、ユウが一緒に飯食うとか何か様子が変じゃね?」
ラビが小声で私に耳打ちしてくる。
もしかして…私がいるから?いやいや、ありえない…。
『…お前が好きだ』
彼に言われた言葉を思い出してしまいボンッと顔が赤くなる。
いや、違う。たまたま、彼の機嫌が良かった…って事にしておこう…。
「あんな顔赤いけど大丈夫か?体調でも悪いんか?」
「あ、いやっ…、だ、大丈夫っ!」
「でもすげー顔赤いし汗もかいてるさ」
心配そうにラビが私の顔覗き込んでくる。
するとラビが突然私を抱きかかえる。
「うわっ、ちょっ…ラビっ!?」
「大人しくしてるさ。医務室連れってやる」
「え、待って、本当に大丈夫だから」
しかし、ラビは私の話など無視し歩き出してしまう。
食堂に人が少ないのが幸いだ。とにかく早く降ろして欲しい。