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大切な物【D.Gray-man】

第12章 気持ち



「あんなさんの髪ってほんと綺麗ですよね」

「そうかな?私なんかよりリナリーの方がサラサラで綺麗じゃない?」



男はあんなの髪を触りながらほんのり頬を染めている。
端から見れば好意を寄せているのは一目瞭然だった。



「…チッ」


この間、隙があると忠告してやったばっかりなのに何も分かっていない様子に頭が痛くなる。



いつまでもベタベタと触っているのに腹が立ち俺の足は自然とあいつの元へと向かう。





「おい」


少し睨んでやれば男は、そそくさとその場を後にする。


「か、神田。あ、私もそろそろ行かない、と?」

またもや逃げようとするこいつの腕を掴み今度は逃がさない。








「な、なに?」

「逃げてんじゃねーよ」

「なんのこと…?」


突然神田がやって来たかと思えば私の腕を掴んで逃げれないようにする。
あの一件から神田と会うのが気まずくて避けていたのは事実だ。



「話があるから来い」

「え、ちょっ!」


私に拒否権などなくズルズルと引きずられて連れて行かれる。






ーバタンッ






連れて来られたのは神田の部屋だった。
いつもなら何も思わない所だが今日は少しだけ居心地が悪い。



「は、話って?」

「お前…この間の事気にしてんだろ」


ドキッとして思わず神田から目をそらしてしまう。


「べ、別に…」

「じゃあ、なんで目逸らすんだよ」

「神田がこっち見るから…」



苦しい言い訳だが、他に思いつかなかったのだ。


そもそも神田があんな事しなければこんな風に悩む必要もなかったのに…。

あれではまるで神田が私の事好き、みたいじゃないか。

神田に限ってそんなことある筈ない、と思ってもあの時の事が何度も頭をよぎってしまう。





そんな事を考えていると神田の手が私の顔を掴み無理やり顔を上げさせる。


真っすぐと私を見つめるその瞳に恥ずかしいやら、きまずいやらで思わず逸らしたくなる。


しかし、がっちりと掴まれているためそれは叶わなかった。


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