第11章 優しい守り番
「起きたか」
私の視線に気づいたのかこちらを見下ろす神田。
「あ、ご、ごめんっ!」
慌てて起き上がるも勢い余って彼の顎とぶつかってしまう。
「てめぇ…急に起き上がるんじゃねぇよっ!」
「だ、だって…ビックリしちゃって…」
こんな状況で驚かない方が無理がある。
起きたら神田が膝枕してましたー、なんて一体何のドッキリだろうか。
「一体何故こんな状況に…?」
「お前が勝手に横になって来たんだろ」
「いや、起こしてよ。…ハッ!まさか神田の偽物!?」
神田がこんな事するなんてどうかしてるとしか言いようがない。
いつもだったら絶対叩き起こすか何かするはずだ。
結果、目の前にいる神田が偽物だという結論に辿り着く。
「いいから座れよ」
「本物?」
「それ以外に何があるんだよ」
確かにそれもそうか、と思い神田の隣に座りなおす。
すると神田は突然私の頬をむにっっとつまんでくる。
「なに?」
「大福みたいだな」
「はぁ?なに?私の顔がパンパンだって言いたいわけ?」
さっきから神田が何したいのか全然分からない。
しかし、このままやられっぱなしも癪なのでやり返そうと神田に手を伸ばす。
「もー!なんで避けるのさ!」
私の手は神田には届かずやり返すことが出来ない。
さすがにイラっと来た私はグーで殴ろうとするもパシッとその腕を掴まれてしまう。
「さっきから何なの!」
「お前、ほんと鈍いよな」
「言ってる意味が」
そう言いかけた時だった急に近付いてくる神田の顔に思わず固まってしまう。
唇に触れる寸前の所でピタッと止まる。
後少しでも動けば触れてしまいそうな距離だった。