第11章 優しい守り番
ーガタンッ ゴトンッ
「置いてくなんてあんまりですよっ!」
「ご、ごめんね?そんなつもりじゃなかったんだよ~」
あれから神田は私を担いだまま駅へと向かった。
無事に汽車も動くようになっており、乗り込もうとした時にアレンがいない事に気付き慌てて彼を探しに行ったのだ。
「今度美味しいお菓子あげるから許して?」
「えっ!本当ですか!」
「う、うん」
アレンがちょろくて助かった、と思ったあんなだった。
そんな会話をアレンとしていると神田がスッと立ち上がりどこかへと行ってしまう。
「そういえば、あんなは随分彼に気に入られたみたいですね」
「あー…なんて言うか、合ってるようで合ってないかな」
「どういう意味ですか?」
私の返事に不思議そうにこちらを見ている。
「雛って初めて見たものを親だと思うでしょ?彼にとって初めて接した外の人間が私。だから気に入ったというよりは刷り込みに近いのかなって…」
「雛、ですか。確かにそうかもしれないですね」
「雛が独り立ちするときが来たんだよ」
「まるでお母さんみたいですね」
今思えば私自身、彼の事を自分と重ねてみていたのかもしれない。
だからきっと彼の事をこんなに気にかけているんだと気付いた。
「あんな…?」
「ふふっ、何でもない」
まだ教団へと帰るには時間がかかるため私はゆっくりと目を閉じ眠りへとついた。
「…あったかい…」
ふわふわと心地よい眠りから、だんだんと脳が覚醒していく。
まだ少し眠たい目を擦れば、アレンも気持ちよさそうに目を閉じて眠っていた。
(あれ…神田は…?)
まだ帰ってきていないのか彼の姿が見えない。
そこで何やら違和感に気付く。
椅子の上に横になるように寝ているのだが何やら椅子とは違った感触がする。
それに妙に暖かい。気のせいでなければ黒い物も見える。
まさか!と思い恐る恐る視線を上にあげてみると…
「……っ!」
どうやら私の予感は当たっていたようだ。
肘掛けに頬杖を付きながら窓から外を見ていた神田が目に入る。