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大切な物【D.Gray-man】

第11章 優しい守り番



「ウィルが誘ってくれて嬉しかった。でも、私は皆を置いて一人だけ逃げるようなことはしたくないの」


初めは何で私がエクソシストに?なんて思っていた。死がいつも付きまとっていてずっと怖かった。
でも気付けば仲間が増えて守りたいって思える人達が出来た。


「仲間、か。いいものだな」

「ウィルもきっとそんな人に出会えるよ。だから大丈夫」

「そうだな…」

「それに、私達だってもう仲間みたいなものでしょ?まあ、どっちかと言うと友達?みたいな感じかな?」



そう言うとウィルは一瞬目を丸くしたがすぐに笑顔になった。
その顔に迷いは見えなかった。



















「それじゃあ、そろそろ行くね」

「あぁ。お前も無茶だけはするなよ」

「ありがとう!ウィルもね」


ウィルと別れの挨拶をする。
彼のこれからの幸せを心から願う。


「いつでも俺のとこに来ていいからな」

「もう!ウィルってば」

「気長に待つとするよ」


そう言って彼は私の腕をグイっと掴み引き寄せる。

「うわっ!ちょっ…と、、」


彼の腕の中にすっぽりとおさまってしまう。
私を抱きしめる彼の腕は少しだけ震えていた。


「辛い事も沢山あると思うけど、その分楽しい事もたーくさんあるから!だから大丈夫!」


彼を安心させてあげようと声を掛ける。
すると、抱きしめていた腕の力が緩まっていく。


そして次の瞬間、頬に柔らかい感触を感じた。



「…っ!なっ…」

「これで前に進めそうだ」


一瞬何が起きたのか理解出来ず思考が停止するがすぐに覚醒していく。
ウィルが頬にキスをしてきたのだ。


「~~~~っ!ばかっ!」


彼は楽しそうに笑っていた。



そこで、ずっと黙っていた神田が私をウィルから引きはがす。
そしてあろうことか、またもや荷物を持つように私を担ぐ。



「か、神田っ!?」

「行くぞ」

「え、あっ…」

私の言葉を無視し歩き始めてしまう。


「ウィルー!元気でねー!」

「じゃあな」


神田に担がれながらウィルに別れを告げる。





こうして私たちはこの村を後にした。


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