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大切な物【D.Gray-man】

第11章 優しい守り番



「うわっ!最悪…」


ぬかるんでいた地面に足を持っていかれる。
おかげで私の足元は泥だらけだ。


「どんくさいな」

「じゃあ、神田がこれ着て歩いてみなよ!大変だって分かるから!」

「誰が着るかよ」


きっと神田もこれ着て歩いたら転びまくって泥だらけになるに違いない。
同じ目にあってから言って欲しいところだ。


「…チッ」


舌打ちをしたかと思えば少し前を歩いていた神田が戻ってくる。
そしてひょいっと私を持ち上げ肩に担ぐ。


「か、神田さん…?」

「……」

「あのー…これは…」

「文句あんのか?」


担いでくれるのは大変ありがたい。歩くの大変だったし。
ただ…担ぎ方に問題があるのだ。



「なんで樽を抱えるように担ぐんですか?もっとこうお姫様だっことかさ…」

「これで十分だろ」

「えー…これ絵面的に神田が人攫いしてるみたいじゃない?」


抗議の意味を込めて手足をバタバタさせる。



「おい、落とすぞ」



その言葉にピタッと動くのを辞める。
神田ならやりかねないと思ったからだ。



それから暫くは大人しく担がれていたあんなだった。














「あ!おーい、ウィルー!!」

「やっと来たか!…ってなんだそれは」


神田に運んでもらったらあっという間に泉の前まで辿り着くことが出来た。


「この服歩きづらくて神田が運んでくれたー」

「そうか、すまなかったな」

「ありがとう神田!もう降ろして大丈夫だよ?」


いつまで経っても降ろす気配のない神田にそう問いかける。
するとドサッと荷物のようにその場に降ろされる。
いや、落とすと言った方が近いだろう。


「急に落とさないでよ!」

「お前が降ろせって言ったんだろ」

「も~~~っ!ばかっ!」



相変わらず私への扱いが雑だ。
神田への文句もほどほどにウィルの元へと近付く。


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