第11章 優しい守り番
「団服が一番動きやすくて楽だな~」
あまり人が寄り付かないせいで道という道はなくすごく歩きづらい。
昨日団服で歩いた時はあまり苦に感じなかったのになぁ。
団服ってすごいんだなあ。ジョニー達に今度何かお礼をしよう。
教団にいる彼らの事を思い出す。
「早く教団に帰りたい~。リナリーに会いたい~」
なんてブツブツ文句を言いながら歩いていると、足元に落ちていた枝につまずいてしまう。
「あー…もうっ!歩きづらい!!」
パンパンっと衣装に付いてしまった土を落とす。
少し衣装が破れてしまったが、まあ仕方ない。
すぐ近くにあった大きな岩の上に腰を掛ける。
「ふぅ~。休憩休憩」
そのままゴロンと横になり、ゆっくりと深呼吸をする。
綺麗な空気に静かな空間が心地よい。
目を閉じ今にも眠ってしまいそうになった時だった。
「何してんだよ」
近くで声がし目を開けるとそこには神田がいた。
「…神田じゃん」
「何だよその恰好は?」
「村の人に着せられた。どう似合ってる?」
「馬子にも衣装だな」
馬鹿にしたような顔でこちらを見ている神田はいつも通りだ。
その様子にホッとする。
「お前、それ着てあいつん所に行くのかよ」
「そうだよ。でもすごく歩きづらいから早く着替えたいんだよね~」
アレンが持ってきてくれる筈だからそれまで我慢だ。
ふと、ある事に気付く。
「アレンは?一緒に来てないの?」
「知らん」
「あー…置いてきたね!もう!一人で大丈夫かな?」
ティムが付いてるから多分大丈夫だと思うけどやっぱり心配だ。
「…アレンのこと迎」
「断る」
「いや、最後まで言わせてよ」
分かっていたが、やはりこの二人は仲が悪いらしい。
まあ、神田の場合はアレンに限らずだけど…。
「はぁ…仕方ない。アレンには自力で何とかしてもらうとしよう」
「さっさと行くぞ」
「あ、ちょっと待ってよ!」
スタスタと前を歩いて行ってしまう神田の後を慌てて追う。