第11章 優しい守り番
「おい、あんなっ!」
「ウィル!なんで!?」
待ってて、と言ったはずだ。
AKUMAだった以上彼を戦闘に巻き込むのは危険だ。
「神田は?」
「あいつはイノセンスを回収すると言って泉の中に潜った」
「はぁっ…その隙に来たって事?」
「お前を一人で行かせるわけにはいかない」
神田がいる限りイノセンスの方は問題ないだろう。
「ありがとう。でも、私から離れないでね」
「あんな、そちらの方は?」
「この人は」
そう言いかけた時だった。
ードォンドォンッ
茂みから砲弾が飛んでくる。
寸前でそれを交わすも、木が邪魔をして正確な位置がつかめない。
「アレン、見える?」
「はい。あっちに4体と反対側5体。…囲まれてます」
数は大した問題ではない。ただ、私はアレンのようにAKUMAを見る目は持っていない上にウィルを守りながら戦うのは少し不利だ。
「この嫌な気配…やはり度々感じていたものと一緒だ」
「ウィル、AKUMAの気配が分かるの?」
「あぁ」
「それじゃあ、私について来て、位置を教えて」
「分かった」
「アレンはそっちをお願い。私はこっち側をやる」
「分かりました」
一瞬迷ったがここまで来たら引き返すことも出来ない。
腹をくくって私は走り出す。後に続くようにウィルも走り出した。
「すぐ右に一体いるぞ」
「おっけー!」
「次は後ろだ」
「はいよ、っと」
ウィルの正確な支持のおかげで次々とAKUMAを破壊していく。
あっという間にアレンが言っていた4体を倒し終える事が出来た。
「もういないようだな」
「ふぅ、助かった。ありがとう」
「いや、元はと言えば俺がついて来てしまったせいだからな。すまなかった」
いつでも彼の事を助けれるようにしていたがその必要は全くなく、彼の身のこなしは私達エクソシストに引けを取らないほどだった。
「おーい、あんなー!大丈夫ですかー?」
「こっちは大丈夫だよー!」
アレンが走りながらこっちに近付いてくる。
どうやらあっちも終わったらしい。