第11章 優しい守り番
「なあ、何かそれらしいのはあったか?」
「今の所見当たらないなあ…」
暫く泉の上から様子を見てみたがそれらしいものは見当たらない。
見れば見る程、ただの綺麗な泉だ。
「やっぱ潜ってみないとわかんないかな…って何か疲れてるね?」
「誰のせいだと思ってる」
「いやー…中々良い反応でつい、ね…ふふっ」
彼の反応が面白くてついつい遊んでしまった。きっと村の人が知ったら、なんて罰当たりな!なんて怒りそうだ。
「へっ?」
突然私の体がふわっと浮き思わず間抜けな声が出る。
ーバシャンッ
気付けば私は泉の中へと落ちていた。
「油断した…な?…はっ?」
ーバシャンッ
そして、またもう一人泉へと落ちた。
「ぷはっ。なんで俺まで落ちてんだよ」
「当たり前でしょ。ビックリして発動解けちゃったんだから」
「…なるほど」
「なるほど、じゃないわよ。よくも押したわね」
「いや、散々お前も押しただろう」
「…オシテナイヨ」
「なんで片言なんだよ」
「「ぷっ。あははっ」」
泉に落ちたというのに思わず二人で顔を見合わせて笑ってしまう。
さっき会ったばかりだというのにウィルと一緒にいるのはなんだか心地がいい。
「どうせ落ちちゃったからこのまま少し潜って調べる。ウィルは先に上がってていいよ」
「いや、俺も一緒に調べる。二人の方が早いだろう」
「ありがとう」
今度は潜って調べることにした。
しかし、意外にもあっさりとそれを見つけてしまう。
軽く潜れば泉の中心部の底で光り輝くものが見えた。
水面の上からでは見えなかったのに潜ってしまえば、こうも簡単に見つかるなら初めから潜ればよかったと少しだけ後悔した。