第10章 海の魔物
あんなとジェシーが談笑していた一方で神田とアレンはというと…
「そういえばさっきあんなと一緒に戻ってきましたけど…何してたんですか?」
「お前には関係ない」
「そもそも群れるのが嫌いな神田が人を迎えに行くなんて変じゃないですか?」
あんなが部屋を出ていったあと、後を追うように神田も部屋を出ていったのだ。
てっきり、用でもあるのかと思ったらあんなと一緒に戻ってきたためアレンは不思議で仕方なかった。
「神田ってあんなの事好きなんですか?」
「はぁ?んなわけねぇだろ」
「そうですよね。神田が人を好きになるなんて気持ち悪いです」
「喧嘩売ってんのか?ぶった斬るぞ」
こいつはたまに鋭い所をついてくる、と内心ビクッとした神田だった。
(そういうお前の方こそ、アイツの事好きなんじゃねぇのかよ)
そう思ったが聞くに聞けなかった。
このモヤシ野郎が単に誰に対しても甘いだけなのかと思っていたが妙にあいつの事になると突っかかってくる気がする。
「…気に入らねぇ」
誰にも聞こえない声でボソっと小さく呟く。
こうしてアレンと神田の部屋もまた違った意味でうるさく夜が更けていったのだ。