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大切な物【D.Gray-man】

第10章 海の魔物



「…確かめたかったの?」

「そう、ね…。だから自分のためでもあったからあんた達が恩を感じることなんてないのよ」


だからジェシーさんは船を出すと言ってくれたんだとこの時初めて知った。



「…辛かったね」


私はベットから起き上がり隣で横になっているジェシーさんに近付く。


「ちょっ、ちょっと!」

「一人で辛かったね」



ジェシーさんの頭を撫でてあげる。何とも変な絵面だが気にしたら負けだ。



「こうやって人に頭撫でられると安心しない?」

「ふふっ、そうね…」



少しだけ声に元気が戻ったようでホッとする。
大切な人がいなくなってしまうのは辛いもんね…。


「ジェシーさんもう少しベット詰めて」


そう言ってモゾモゾと彼女の布団に潜り込む。


「あったかーい」

「…はぁっ、あんたには警戒心ってものがないのね…」

「いいじゃん!一人で寝るよりあったかいよ!」

「そう言う事を言ってるんじゃないんだけど」

「なんかジェシーさんってお姉ちゃんみたい!」

「あら?嬉しい事言ってくれるわね」

「…オカマだけど」



軽く頭をコツンと叩かれるも本気で怒った様子はない。
最初こそ、印象が悪かったがいざ関わってみると本当は優しくて素敵な人だ。




「あんた…あんな化物と戦って怖くないの?」


突然ジェシーさんが真面目な声でそう問いかけてくる。


「怖くない…って言うのは嘘だけど、でも、大切な人を失う方がもっと怖い」

「そう…。強いのね…」

「まだまだ!これからもっと強くなって皆を守るんだ!」


守りたいものが増えてしまって守り切れるか不安だが私は私のやるべきことをやろうと思った。







こうして暫く談笑し夜が更けていく。気付けば私たちは夢の中へと落ちていった。

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