第10章 海の魔物
正直今会うのは気まずい…。というか、私の心の整理が出来ていない。
だがそう思っても遅い。
真っすぐと私を捕らえて離さない目が私の体温を上昇させる。
「なんつー顔してんだお前は」
「あっ…、いや、、」
「どうせお前の事だから男同士って言葉に反応して思い出してたんだろ?」
「エスパーッ!?」
「バレてねぇって思えることの方がビックリだ」
「…助けてくれたってわかってるんだけど恥ずかしくて…」
「あんなもん、男同士じゃ普通だ」
神田の返事に思わず開いた口が塞がらない。
え?男同士ってみんなあんな感じなの!?
「へー…だから神田は普通だったのか…なるほど…じゃあ、私が恥ずかしがる必要ない…?」
「…あぁ」
「なーんだ。変に意識しちゃって損したー」
すっかり安心してしまったあんなはジェシーの家へと歩き出す。
そんな後姿を見ながら、単純な奴で良かったと思っていた神田だった。
「そういえばジェシーさん船出してくれてありがとう」
「そんな事気にしなくていいのよ」
あれからジェシーさんの家に戻り食事を済ませ、今はベットの中だ。
隣のベットにはジェシーさんが横になっている。
お世話になると言っても急に三人も押しかけてしまったため部屋が開いておらず、アレンと神田、そして私とジェシーさんという部屋割になったのだ。
まあ、オカマと言えど心は女らしいので変な心配は無用だ。
「この部屋ジェシーさんのだよね?ベットが二つあるけど…」
「恋人の物よ。って言っても数日前から行方が分からないんだけどね」
「えっ!そんな…もしかして海に…?」
「さあ?もしかしたら、そうかもしれないわね」
ジェシーさんの顔は見えないがきっと悲しい顔をしているのだろう。
声にいつもの元気がない。