第10章 海の魔物
「人魚じゃなくてAKUMAの仕業だったね~」
「なんでそんなガッカリしてるんですか?」
「いや、本当に人魚がいるなら会ってみたいなって…」
「でも、そのセイレーンっていうのに会ったら男の人は死んじゃうんですよね?」
AKUMA討伐と調査を済ませた私たちは港に着き、今晩はジェシーさんの家さんのお家に泊めてもらう事になった。
「私は女だから大丈夫ー!」
「僕と神田は男なんですけど?」
「でも、神田の場合どんなに美女だろうとうるせぇって斬りかかりそうだよね」
「ぷっ…確かに言えてます」
神田が女の人にノコノコついてく姿なんてとてもじゃないが想像できない。
逆にそんな場面に出くわしたら大笑いしてしまいそうだ。
「でも美女以前に女の人とか興味なさそうですもんね」
「もしかて…女じゃなくて男がいいんじゃっ」
「んなわけねえだろっ!」
ずっと黙っていた神田が少し食い気味に答える。
あぁ、やっぱ男同士は無いか。
と、そこでこの間の事を思い出して顔が赤くなってしまう。
「あんな?顔が赤いですけど大丈夫ですか?」
「だ、だだ、大丈夫っ!!ちょっと部屋が暑くてっ!あはは!ちょっと風に当たってくるねっ!」
返事も待たず部屋を飛び出し、ジェシーさんの家を後にする。
暫く歩いた私はその場に座り込み顔を抑える。
「あっつ…」
あれは私を助けてくれただけであって、深い意味はないと分かっている。
それでも胸がドキドキして止まらない。
(今更だけど、とんでもない事しちゃったなあ…)
はぁ…と深くため息をついていると、何やら影がかかり思わずバッと顔をあげる。
するとそこには…
「何してんだよ」
「か、神田っ」
ちょうど今考えていたいた人が目の前に現れて、思わず声がひっくり返ってしまう。