第10章 海の魔物
目の前のAKUMAを破壊し神田の方を確認するとそちらも終わっていた。
そして私の方を向きこう言う。
「お前だって似たようなもんだろ」
突然の事で頭の中にはてなが浮かぶ。
わけが分からずキョトンとしているとアレンが横から入ってきた。
「さっきの事を言ってるんですよ」
「さっき…?歌が下手ってこと?」
「え?あんなって歌が下手なんですか?マテールの時はそう思わなかったですけど?」
話が嚙み合っていないようだ。それだったら一体何なんだろうか?
「もう降参。全然分かんない」
「さっき神田が海に飛び出したようにあんなも急に飛び出したじゃないですか」
「神田ならあの合図で分かるかな?って」
「それですよ、それ!全く神田は言葉が足りないのであんなが困っちゃったじゃないですか!言葉の勉強して来たらどうですか?」
「あ?お前こそそのうるせぇ口どうにかしろよ。そぎ落としてやろうか?」
アレンの言われて気付いたが、これだけ長く一緒に戦ってきたせいか彼がどう動くか大体予測は出来る。
ま、戦闘中は集中してるからそのせいだと思うけど。
「つまりアレでしょ?神田は私とのコンビネーションが最高って言いたいわけだね?」
ーゴチンッ
「なんでそうなるんだよ?」
「だから!なんで毎回叩くの?」
自分的に神田の言いたいことを纏めたつもりだが違ったらしい。
「言葉って難しい…」
「僕とも最高のコンビネーションにしましょうね」
「アレンッ!いい子!」
ニコッと笑顔で手を握ってくるアレンに私も笑顔で答える。
しかしその手を六幻でパチンッと叩く神田。
「…何するんですか?」
「うるせぇ。エセ紳士」
「あんた達ってほんと仲が良いのね」
それまでずっと黙っていたジェシーさんが神田とアレンに声を掛ける。
「「誰がっ!!」」
二人の声がハモった事により私とジェシーさんはお腹を抱えて笑い
神田とアレンの間には不穏な空気が漂っていた。
何はともあれ、みんなが無事で良かったと一安心するあんなだった。