第10章 海の魔物
「まだこんなにいたのね…。イノセンス発動ッ!」
「お前の相手は私よ」
私の前にレベル2が現れる。
「さっさと終わらせてやる!」
「それはどうかしら?」
AKUMAとの距離を一気に縮め間合いに入り込む。
そして私の攻撃がAKUMAに当たる寸前、突然不協和音が辺りに響く。
「~~っ♪」
思わず耳を塞ぎたくなるような音と共に体に異変を感じる。
そう、体が動かないのだ。
「クソッ。どうなってやがるっ!」
「体が…動かないっ!?」
どうやら動かないのは私だけではないらしい。
目だけチラッと彼らの方を見ると同じように動きが止まっていた。
そんな様子を楽しそう顔をしながら目の前のAKUMAはこちらを見ている。
「あんたの能力ね…」
「ご名答。私の歌、とっても素敵でしょう?」
これが歌?とてもじゃないが聞くに堪えない音だ。
耳を塞ぎたくても体が動かない。
こうなったら…
「ほんと、素敵な歌声だね。もっと聞きたいな」
「あらっ?エクソシストの癖に私の歌の良さが分かるのね」
気を良くしたのかAKUMAは自慢げに酷い音を奏でる。
そう、これでいい。
少しずつ影を忍ばせる。
「いくよっ!」
「ギャアアアアッ」
私の合図と共にAKUMAは悲鳴を上げる。
体は動かせなくても私の影は自由自在だ。
「クッ…騙したな…死ねェェッ!」
「うるさいっ!このっ、へたくそっ!!」
今度は歌う暇など与えない。一気に体を貫きAKUMAを破壊する。