第8章 怪しい物には気を付けよう②
「…ひっ…来ないでっ!!!」
「寝ぼけてんじゃねーよ」
ーゴンッ
「いった!なんで叩くの?って、あれ?ここ神田の部屋?」
目を覚ますと私は何故か神田の部屋にいた。
「…あれ?体…元に戻ってる?」
「はっ?何言ってんだお前」
「え?だって私男に…」
「あぁ、ついに自覚したのか」
馬鹿にしたように笑いながら見下してくる神田。
何この反応…。もしかして…。
「なんだ、夢か。そっか。良かった…」
とんでもない夢を見たもんだ。
リナリーに襲われ…神田に襲われ…。
思わず思い出して顔が赤くなる。
いくら夢とはいえ私ってばなんてことを…。
ダメだ。思い出したら神田の顔がまともに見れない。
「…か、帰る」
ーバタンッ
一人部屋に残った神田は深いため息をつく。
「夢なわけねーだろ、アホかあいつ」
仕方なったとはいえ、あんな形で手を出したことを後悔していた。
夢に出来たらどんなに良かったか。
「…チッ」
自分でも薄々気付いてはいた。俺自身があいつを気にかけていた事を。
ただ、いつも一緒にいるからそれに慣れちまっただけだと思っていた。
けどあんなのあの姿を見て『こいつが欲しい』という自分の欲に気付いてしまったのだ。
「ハッ。…ありえねぇだろ…」
自分の感情に戸惑う神田だった。
「あんな!もう大丈夫なんか?」
「あっ、ラビ!大丈夫って何が?」
「え?昨日あんな事があったのに忘れちまったんさ?」
サーッと血の気が引いていく。
「やっぱ夢じゃなかったーーーーっ!!!」
暫くあんなは部屋から出てこなかったそうだ。