第8章 怪しい物には気を付けよう②
「わあ、相変わらずリナリーの部屋は可愛いね!」
「兄さんが勝手に置いてくのよ」
「ほんとコムイさんリナリーの事好きだよね…」
リナリーの事が可愛くて仕方ないんだろう。
少しだけ二人の関係が羨ましくなった。
「渡したいもの持ってくるから、これでも飲んで待ってて」
「ありがとー」
そう言ってリナリーは私の紅茶を出して部屋の奥へと行ってしまう。
「ん…美味しい」
リナリーが出してくれた紅茶が美味しくてあっという間に飲み干してしまう。
しかし、リナリーはまだ戻ってこない。
ちょっと様子でも見に行くか、と思い立ち上がった時だった。
体の自由が利かずその場に倒れてしまう。
「…えっ…痺れて…」
「ふふっ、ごめんねあんな。ちょっと薬混ぜちゃった」
「…嘘、なんで」
「実は兄さんが間違えて置いていったんだけど…まさかこんな形で役に立つとは思わなかったわ」
どうやらさっきの紅茶に何か入れたらしい。
やっぱ兄弟だなぁ、なんて呑気な事を考えていると気付けばリナリーは私の上に馬乗りになっていた。
「なに…?」
「怖がらなくても大丈夫よ。安心して?」
私を見下ろす目は焦点が合ってないように見えた。
そしてあろうことか、いきなり私の首をペロッと舐めてきたのだ。
「…ひっ、り、リナリー?」
「ふふ、あんな可愛い…」
さすがにただ事ではないと思ったが、体は動いてくれない。
なんとか話し合いに持ち込むしか…
「ね?リナリー一回落ち着こ?」
「私は落ち着いてるわ」
「いやいやいや、おかしいって!どうしちゃったの?」
「何故だかあんなを見てると変な気分になるのよ」
そう言いながらうっとりとした表情でこちらを見る。
こんなリナリー知らない。…怖い。