第8章 怪しい物には気を付けよう②
「神田まだかな~…」
何度も神田の部屋に来ているが相変わらず全く生活感がない。
ただ、唯一神田の私物といえるだろう綺麗な蓮の花。
透明なガラスの中に飾られている花はとても綺麗で目を惹く。
「いつ見てもこれは綺麗だよな…」
あまり物に執着しない彼がこれだけはずっと置いてある。
大切な物なのだろうか?
「実は私神田の事あんまり知らないんだよね。なんか…寂しいな…」
ふとそんな事を考えていた時だった。
ーコンコンッ
部屋のドアがノックされ神田が帰って来たのかと思いドアを開けると…
「こんな所にいたのね、あんな」
「リナリーっ!」
そこにはリナリーがいた。
しまった!と思った私はリナリーの隙を付き部屋を飛び出す。
「はぁっ…はぁっ…」
「待ってあんな!」
「追いかけて来ないでー」
「違うの!さっきの事謝ろうと思ったの」
その言葉に走っていた足をピタッと止める。
「もう怖い事しない?」
「えぇ、さっきは本当にごめんなさい。急にビックリしたわよね」
「良かったー!リナリーが元に戻った~」
思わずリナリーにギュッと抱き着く。
しかしこの時リナリーがニヤリと笑っていたなんて気づきもしなかったのだ。
「そうだ!お詫びに渡したいものがあるの!私の部屋に来てくれる?」
「え、いいよ!そんな!」
「ふふっ、遠慮しないで?さ、行きましょ?」
強引に腕を引っ張り私はリナリーに連れて行かれてしまう。
そんな様子を見ていた人が一人いた。
「た、大変さ!早くユウに知らせないと!!」