第7章 怪しい物には気を付けよう
「さっきから…避けてばっかいんじゃねェよ」
「神田が遅いから当たんないだけでしょ?」
「…チッ」
結局いつも通りの流れで今は神田と組手をしている。
そして、どういうわけかいつもより体が軽い。
おかげで神田の攻撃は簡単にかわせてしまう。
「ねえ、この勝負勝った方の言う事一つだけ聞くってのはどう?」
「ハッ。勝つのは俺だ」
「よし、決まり」
良い事を思いついた私はこの勝負何が何でも勝ちに行く。
体も軽しいつもよりパワーもある。
私は神田の間合いに入り込み襟元を掴み投げ飛ばす。
「なっ!」
「へへっ、私の勝ち~っ」
「あんなすごいさ」
神田は驚いて目を見開いている。
大体いつも組手だと私の方が負けることが多い。
男で良かったかも、なんて一瞬思ってしまった。
「じゃあ、神田には約束通り言う事聞いてもらうからね」
「…チッ」
「神田にはー…」
その時だった。
「きゃあっ!あんなさん素敵ですっ」
「カッコよかったです」
「これタオル使ってください!」
突然、どこからともなく現れた女子たちに囲まれる。
「えっ?ちょっ、何?」
「鍛錬してる姿かっこよかったです」
「この後一緒に食堂行きませんか?」
「あんなってばすごいモテようさ」
何これ。男になった途端にモテても全然嬉しくない。
てか、こんなに女子っていたんだ…そっちに驚く。
「おい、邪魔だ。どけ」
「神田っ!」
女子に囲まれていた私の腕を掴み輪から引っ張り出してくれる。
しかし女子たちも譲らない。
「神田さんばっかりずるいです!」
「私達にも触らせてください」
「はっ?待って待って、みんな落ち着いてよ。私女だから!」
「そんなのはどうでもいいんですっ!」
ガシッと彼女たちに腕を掴まれる。
いやいや、普段貴女達神田が怖くて近寄りもしないのに…一体どうしちゃったの?
「何か変だよ!おかしいって!」
彼女たちの様子が変だ。まるでさっきのリナリーみたいな…。