第7章 怪しい物には気を付けよう
「ねえ、少し身長も伸びた?」
「ん、そうみたい。リナリーと目線が近いや」
いつも見上げてばかりだった私が今はリナリーと並んでいる。
何だか少し得した気分だ。
「それに体つきも男らしくなったというか…」
「げっ、嬉しくない…」
「そう?なんだか普段と違ってカッコよくてドキドキしちゃうわ」
頬を染めながら熱っぽい視線でこっちを見つめるリナリー。
「いやいや、女だからね?ちゃんと女だからね?」
「もうっ!分かってるわよ。ふふっ。でも私あんなとだったら…」
「あぁーーーっ!そうだ!思い出した!用事があるんだった。またねリナリー!」
何やら危険を察知した私は慌ててリナリーの元を離れる。
用事なんてない。そんなのは嘘だ。
「リナリーの様子変だったな…」
明らかに普段の様子と違ったリナリーが一瞬怖いと思ってしまった。
「きっと、リナリーも戸惑ってるんだよね」
きっとそうだ。そうに違いない。
一瞬浮かんだ変な考えを振り払う。
「あ、神田ー!ラビー!」
とりあえず体でも動かすか、と思い鍛錬場に行くと神田とラビが組手をしていた。
「お!あんな!さっきぶりさ」
「やっほー」
「なっ?だから言ったろ?あんなが男になっちゃったって」
どうやら早速ラビは言いふらしているらしい。
このおしゃべりさんめっ!
「フンッ。大して変わんねーじゃねェか」
馬鹿にしたように神田はこちらを見る。
変わらないってどういう意味かしら?
元々胸なんてないって言いたいのかこの男は?
「どうせ最初から胸なんてないよーだ。神田のアホ。ハゲ」
「いや、ユウの髪の毛は健在さ」
「…くっ。このパッツン!」
「あぁ?上等だっ、相手してやる」