第6章 優しさ
運転室へ着くと、沢山のレバーにスイッチ。
そして燃料となる石炭がそこにあった。
「うわっ…すごい熱気」
釜の中に詰め込まれた石炭が勢いよく燃えている。
おかげで運転室は熱気と黒い煙が凄かった。
「ゲホッ…あ、ねえ、これブレーキじゃない?」
そのレバーにはご丁寧にブレーキと書いてあった。
力一杯引くも固くて動かない。
「固っ!…ってこれ変形しちゃってるよ!」
先ほどの戦闘のせいだろうかレバーは形を変えており、私の力ではレバーを倒すことが出来なかった。
私が悪戦苦闘していると神田もレバーを倒すのを手伝ってくれた。
ーーキィィィィィッ!!
何とかブレーキがかかり橋から落ちる手前で止まってくれた。
「…と、止まった~」
無事に列車が止まりホッと胸を撫で下ろし神田を見る。
「ぷっ…あははっ…か、かんだ…顔ッアハハッ」
神田の顔は煤で真っ黒だった。
あまりにも間抜けな顔で思わず吹き出してしまう。
「お前だって酷い顔してるぜ」
「えっ!嘘っ!?どこっ?」
自分の顔に手を置き確認する。
しかし鏡がない今どこについてるのか全く見当もつかない。
「もー、最悪ー。お風呂はいりたーい」
私がそう嘆いていると神田の手がスッと伸びてくる。
いつものように叩かれると思った私は思わずギュッと目を瞑る。
「…ッ痛い痛い!痛いってば!」
「なんだよ。拭いてやってんだろ」
神田の手は私の顔へと伸び力一杯私の顔面を擦る。
いや、まさかこう来るとは思わなくて正直驚いた。