第6章 優しさ
「だから、痛いんだってば!」
「きたねェんだから仕方ないだろ」
(いや、わざとだ!さっき笑った腹いせだ。絶対そうだ!)
やらっれっぱなしが気にくわなかった私は神田にもやりかえそうとする。
しかし、頭を抑えられ私の手は神田には届かない。
「ずるい!卑怯だっ!」
「ハッ。恨むなら自分の腕の短さを恨むんだな」
意地悪そうに上から見下す姿に殺意すら覚える。
イラッとした私は神田の足元を蹴り飛ばす。
油断していたのか神田はバランスを崩しその場に倒れる。
「ざまーみろっ!はっはっはっ…あっ…」
しかし、気付いた時にはもう遅い。
額に青筋を立てピクピクとしている。
(これはヤバい…殺られる…)
「あー…ちょっと車内に異常がないか見てこよー…ヒッ」
しかしそれは叶わない。
ガシッと肩を掴まれ、ゆっくりと後ろを振り返る。
「や、やだー。そんな顔して、ど、どうしたの…?」
「覚悟しやがれッ」
「やーーーーだーーーー」
抵抗も虚しく頭を殴られるあんなだった。
「不公平だーーーッ!!!」
こうして任務を終わらせ教団へと帰ったのだった。