第5章 マテールの遺跡
「あとは僕が見てるので、あんなは神田の所へ行って来てください」
「え?でも…」
完璧に治ったわけじゃないアレンをこの場所に置いていくのは気が引けた。
またいつAKUMAが襲ってくるかも分からない。
「僕なら大丈夫です。それに約束したのは僕なので…」
「…分かった。じゃあお願いするね。でも何かあったらすぐ知らせてよ?」
「あのっ、」
「ん?なに?」
私がその場を後にしようとすると、アレンが声を掛けてくる。
「ありがとうございます!」
「どーいたしましてっ」
謝ってばかりだったアレンから、”ありがとう”という言葉が聞けて何だか嬉しくなる。
「あ、そうそう。アレンが泣いたことはみんなに内緒にしておくから安心してねっ」
「なっ!」
「ふふ、じゃ、また後でね~」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていたアレンを残し私は病院へと向かった。
「はぁっ。やっぱりあんなの方がお姉さんだったかもしれない…」
ふと入団日での事を思い出し、一人呟くアレンだった。