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欠落した子

第7章 7




「…っう……ん?」

身体が重い

目を覚めれば知らない天井

何があったのかを思い出しながら記憶を整理する

確か辻斬りの人とあってそのまま意識を飛ばして…

ズキッ

「…いっ…」

頭が軽く痛む

「起きたのか…」

聞き覚えのある声がする

その声はずっと待っていた声

たとえあの時捨てられたとしても

なにがあったとしても

私が居たいとずっと思っていたお方

声のするほうをみては姿を確認して涙を浮かべる


「………晋助様!!」

ぎゅっ


そしておもいっきり彼に抱きつく

「…まみ…」

高杉もまた抱き締め返す

「…あのまつりの時は悪かったな…」

「…晋助様!?そんなことないです!!私こそ…」

優しくじわりと耳元で言えば彼女は直ぐに顔をあげ高杉の顔を見る

「ずっと会わなかったらあぁなってもおかしくないと思っていました。」

ニコッと笑いながらもその頬には涙が伝う

高杉はそれを愛らしく救い舐める

「…まみお前俺の事はまだ好きか?」

「!?え、あ、はい!!好きです…私はずっと晋助様のお傍に居たいです…」

首に腕を回し抱き締める

晋助様の香り…

ぎゅっと着物を掴み今までの分を埋めるように高杉の胸になだれ込む

「…まみいい子だなぁいい子…」

優しく頭を撫でられるだけでも満足するまみ

それほど彼女と彼は離れていた

だからこそ

この時にその分を埋めるように

前会った時に出来なかった。伝えられなかった思いを伝えるためにも

「…まみ…」

「…晋助様…」
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