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忍たま☆ちょっと変わった迷い人 の段

第5章 お台所と料理人 の段


廊下を走るな? 知ったことか!

そう言うかのごとく、と半助は学園を駆け抜ける。

「土井先生、上級生の長屋お願い出来ますか!?」

走りながらが言うと、半助は小さく頷く。

「わかった、じゃあ、くんは1年生の方を!!」

言うが早いか、半助は先に走り去る。

は慌てて走る速度を上げる。

ここ数日で学園内の構造はだいぶ掴んだ。

1人でも大抵の場所にはたどり着ける。

あっという間に目的地に着いたは、勢いよく部屋の中に飛び込んだ。

「しんべヱ帰ってる!?」

は『入っていいか』も聞かずに呼び掛ける。

そう、そこは1年生長屋の乱きりしんの部屋だった。

おばちゃんが言った名前、それは・・・

『5・6年生何人かと、牛車で通りかかって休憩中だった、しんべヱ』だった。

しんべヱは、さっき食堂に来なかった。

そう、が食事を振る舞っていたにも関わらず、だ。

学園内にいたのなら、間違いなくさっき食堂に現れていたはず。

つまり、まだ学園に帰ってきていないか、着いたばかりの頃合い・・・だと思いたい。

は高学年を半助に任せ、はしんべヱを止めるべく1年生長屋に飛び込んだ。

口止めをするために。

だが・・・

「「「「あっ、さん!!」」」」

乱きりしんの部屋で『』と名を呼んだのは、3人だけではなかった。

そこには、戻っていたしんべヱ以外にも無数の視線・・・

カギかっこの数は省略するが、勢いよく振り返ったのは、1年は組の良い子全員だった。

「なっ、なんで全員大集合!?」

冷や汗を流して聞くに、は組はウキウキと好奇心に満ちあふれた視線を向ける。

ただ1人、きり丸だけが『あちゃー』という目でを見ていた。

「あ、あの~、しんべヱくん?」

普段は呼び捨てなくせに、君づけで名を呼び、ダラダラと汗を流す。

しかし、しんべヱは気付かずに、のんびりと言葉を放った。

「あっ、さん。」

まずは名を呼ぶ。

続けて、しんべヱはその言葉を放った。

無邪気に、無情に、無自覚に。

「さん、女の子だってボク知らなかった~、言ってくれればよかったのに~」
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