• テキストサイズ

忍たま☆ちょっと変わった迷い人 の段

第4章 土井先生と同居人 の段


翌朝、まだ日が上がりきらぬうちに目覚めた半助は、ほんのわずかに身をよじった。

すると・・・

「おはようございます、土井先生」

すぐに隣の布団から、小さな声が聞こえた。

「あっ、くん、起きてたのかい?」

身を起こし、半助は隣にいるを振り返る。

は、まだ布団に寝転がり、眠たそうな目をこすっていた。

「多分、今、土井先生が目覚めた気配で起きました」

「あ~、ごめん、起こしちゃったか」

半助がすまなさそうに頬をかきながら言うと、はゆっくりと体を起こす。

「いえ、大丈夫、ゆっくりと眠れました。偉そうなこと言っても、やっぱり布団は心地いいですね」

半助を見て、はふんわりと笑う。

そして、借り物の半助の布団をキュッと両手で抱きしめた。

まだ部屋は暗いため、ハッキリと顔が見えるわけではない。

だが、が穏やかな表情をしているであろうことは、半助にも予想がつく。

(自分の布団でこうも安心されると、どうにも照れくさいなぁ・・・)

半助はわずかに自分の体温が高くなった気がした。

布団をゆっくりと畳み、には

「もう一眠りしていていいよ」

と声をかける。

照れ隠しにの顔を見ないまま放たれた言葉。

だが、別に冷たいといった印象を与えることもなかったようで、はしばし考えた後、自分も自然に布団から抜け出した。

「名残惜しいですが、私も起きます」

わずかに乱れていた裾を整え、は立ち上がった。

(名残惜し・・・ねぇ)

が『温かい布団』に対して『名残惜し』と言ったのはわかっている。

だが、わかっていても、自分の布団から『名残惜しい』などと言われれば、変に意識してしまう。

半助は、頭をクシャクシャと掻いて、天を見上げた。

たかが数日の同室だとはわかっていても、平穏無事に過ごせるか、半助は嬉しさ混じりの苦労を感じ、息をもらす。

「土井先生?」

小首を傾げるが、半助を覗きこむ。

の寝起きの姿は、いつもより無防備に見えた。

「くん、おはよう」

今さらながら半助がそれだけ言うと、はニッコリ笑った。

二人の同室同居生活は、こうして始まった。
/ 83ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp